紀平梨花選手が、新たに第2コーチとして、カナダのブライアン・オーサーさんに師事することがわかりました。
(2020年6月13日 共同通信より)
ブライアン・オーサーさんといえば、
現在も指導中である、羽生結弦選手のコーチとして有名です。
数々のオリンピックメダリストを育て上げ、現在も、多くのトップスケーターの指導をしています。
2020ー2021シーズンは、北京オリンピックのプレシーズン。
紀平選手は、オリンピックでの金メダルを目指し、更なる技術向上のため、オーサーコーチへの師事を決めたと思われます。
3アクセルを跳び、完璧な4回転を習得中の、日本女子エースの紀平選手が、羽生選手やキム・ヨナ選手を金メダルに導いたオーサーコーチに師事するなんて、わくわくしませんか!
紀平選手のこれまでの大会成績、
オーサーコーチの経歴、そして第2の練習拠点となる、クリケットクラブについて調べてみました。
北京オリンピックへ向けて
紀平選手は、2020年6月13日の共同通信の取材に応じ、第2コーチとしてブライアン・オーサーさんに師事することを明かし、意気込みを語りました。
メインコーチは、これまで通り、浜田美栄さんが務めます。
「(2年後の)北京五輪へ向けて絶対に成長できると考えて決めた」
日刊スポーツ「紀平梨花「絶対成長できる」第2コーチにオーサー氏」
(共同通信)より抜粋
2020-2021は、北京オリンピックのプレシーズン。
オリンピックでの金メダルを見据え、2種類の4回転(サルコー、トゥーループ)習得を目標に掲げています。
昨年のGPシリーズでは、4回転、大幅加点の3アクセルを跳ぶロシア3選手の上に立つことができず、GPファイナルはメダルを逃しました。
昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルでは4位に終わり、表彰台を独占したロシア勢に対し、
日刊スポーツ「紀平梨花「絶対成長できる」第2コーチにオーサー氏」
「超えないと北京五輪でも優勝をつかめないんだと意識して、今回は負けないと自信を持てる状態で試合に臨めるように練習したい」と対抗心を燃やした。(共同)
(共同通信)より抜粋
コロナウイルス感染拡大の影響で、オーサーコーチのいるカナダには、まだ入国できませんが、
入国解除され次第、カナダで練習を行う模様です。
制限が解除され次第、7月にもトロントのクリケットクラブで練習を行う予定。
日刊スポーツ「紀平梨花「絶対成長できる」第2コーチにオーサー氏」
「新たなスピンやステップからのジャンプなども学びたいし、トップ選手の動きを見てたくさんのことを吸収したい」と意気込みを口にした。
(共同通信)より抜粋
北京オリンピックでの金メダル獲得に向けた、紀平選手の本気度が伝わりますね!
クリケットクラブは、古い歴史を持つカナダの名門クラブ。
新しい環境で、紀平選手がどれだけの成長を遂げるのか、楽しみです!
紀平梨花選手の大会成績
現在、フィギュア日本女子のエースとなった紀平梨花選手。
これまでの大会成績を見てみましょう。
ノービス/ジュニア時代
13歳 全日本ノービス選手権
Aクラス 優勝
14歳 ジュニアGPチェコ大会 優勝
全日本ジュニア選手権 優勝
全日本選手権 3位
15歳 全日本ジュニア選手権 優勝
全日本選手権3位
2015-2016シーズン
全日本ノービス選手権Aクラスで優勝し、
初出場の全日本ジュニア選手権では11位。
2016-2017シーズン
ジュニアGPに初出場。
2戦目GPチェコ大会では、女子史上7人目、世界最年少記録で3アクセル成功。
同時に、女子史上初となる、6種類8個の3回転ジャンプも成功し、優勝。
2017-2018シーズン
ジュニアGPファイナルは、総合順位は4位。
FSで女子史上初、
高難度3アクセル-3回転トゥループを成功
全日本ジュニア選手権は、FSで3アクセルを2度成功し、優勝。
初出場の全日本選手権は、SP/FSで、計3本の3アクセルを決め、3位で表彰台へ。
シニアデビュー後
16歳 オンドレイネペラ杯 優勝
GP NHK杯 優勝
GPフランス大会 優勝
GPファイナル 優勝
全日本選手権 2位
四大陸選手権 優勝
世界選手権 4位
2018-2019シーズン
シニアデビュー。
紀平選手の活躍は、目覚ましいものでした!
【シニア初参戦のオンドレイネペラ杯】
FSで3アクセル-3回転トゥーループ、単発の3アクセルを成功。
総合点218.16点で、シニアデビュー戦で優勝。
【GP NHK杯】
FSで2本の3アクセルを決め、日本女子歴代最高点の154.72点を記録。
総合点も日本女子歴代最高点の224.31点で、優勝。
【GPフランス大会】優勝
【GPファイナル】
SPで3アクセルを決め、ルール改正後の世界最高得点となる82.51点を記録。
FSは、冒頭の3アクセルはダウングレード判定。
続く3アクセル+2回転トゥーループは決め、230点超えとなる233.12点で優勝。
浅田真央さん以来13年振りの、日本人で、シニアデビューでGPファイナル優勝。
【全日本選手権】 2位
【四大陸選手権】 優勝
【世界選手権】4位(初出場)
【国別対抗戦】
SPで3アクセルを成功させ、世界最高得点83.97を記録。
2019-2020シーズン
17歳 GPカナダ大会 2位
GP NHK杯 2位
GPファイナル 4位
全日本選手権 優勝
四大陸選手権 優勝
【GPカナダ大会】
SPで3アクセルを成功させ、81.35点の高得点。
FSも148.98点の高得点。
しかし、4回転を3本決めたシニアデビューのアレクサンドラ・トゥルソワ選手(ロシア)には及ばず、230.33点で2位に。
【GP NHK杯】
アリョーナ・コストルナヤ選手(ロシア)が優勝し、2位。
【全日本選手権】 優勝
【GPファイナル】
ロシア勢3人が表彰台を独占し、4位に終わりました。
【四大陸選手権】
(ロシアを含むヨーロッパ選手は対象にならない)
SP/FSともに1位で優勝。この大会2連覇。
3アクセル+2トゥループのコンビ、他の3回転ジャンプを確実に成功。
スピンやステップの評価も高く、151.16を記録し、
総合点232.34のシーズンベストで優勝。
紀平梨花選手の17歳シーズン
ノービス時代から、すでに頭角を表し、シニアデビューのシーズン16歳は、目覚ましい活躍でした。
しかし、17歳のシーズンは、その活躍を阻むように、新しいロシア勢に圧倒されてしまいます。
決して紀平選手の調子が悪かったわけではありません。
ロシア勢がすごすぎたのです。
何しろ、4回転を軽く跳んでくるのですから。
でもそれが、紀平選手の心に火を点けたのかもしれませんね。
紀平選手が、大会で4回転を決める日は近いでしょう!
ブライアン・オーサーコーチについて
羽生結弦選手のコーチとして有名ですが、どんな方なのか、経歴を見てみましょう。
カナダ出身の元フィギュアスケート男子シングル選手です。
当時、最高難度だった3アクセルが武器でした。
1984年サラエボオリンピック、1988年カルガリーオリンピックで、銀メダルを獲得している超トップスケーターでした。
1988年引退後は、プロスケーターとして世界各国のアイスショーに出演。
2000年頃から振付師としても活動。
2006年からコーチとして活動開始。
キム・ヨナ選手の専任コーチとなりました。
2010年バンクーバーオリンピックでキム・ヨナ選手は金メダルを獲得。
その後、2012年より羽生結弦選手(当時17歳)のコーチとなり、
2014年ソチオリンピック、2018年平昌オリンピックで、
羽生選手を金メダリストに導きます。
他にも数々のトップスケーターを指導し、実績を上げています。
現在の指導選手
主に男女シングル選手を指導していますが、アイスダンスの選手も教えています。
羽生選手を筆頭に、2度の世界女王に輝いたエフゲニア・メドベージェワ選手も指導しています。
・羽生結弦(日本) 2012.4~指導
ソチOP 2014/平昌OP 2018 金メダル
・西山真瑚(日本) 2017.1~指導
アイスダンス・男子シングル並行
全日本ジュニア選手権2019 優勝
(アイスダンス)
・チャ・ジュンファン(韓国)
2015.3~指導
GPファイナル2018 銅メダル
・ジェイソン・ブラウン(アメリカ)
2018.5~指導
四大陸選手権2019 銀メダル
・ガブリエル・デールマン(カナダ)
2015.4~指導
カナダ選手権2018 優勝
・エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)
2018.5~指導
平昌オリンピック銀メダル/
世界選手権2016.2017 優勝
過去の指導選手
初めてコーチとして本格的な指導をしたのは、後に金メダリストとなるキム・ヨナ選手です。
それ以降、コーチに専念しています。
・キム・ヨナ(韓国) 2007~2010.7指導
バンクーバーOP2010 金メダル
ソチオリンピック2014 銀メダル
・ハビエル・フェルナンデス(スペイン)
2011~2019.1 指導
世界選手権2015.2016 金メダル
平昌オリンピック2018 銅メダル
・アダム・リッポン(アメリカ)
2008.12~2011.3指導
四大陸選手権2010 優勝
・エリザベート・トゥルシンバエワ
(カザフスタン)2013~2018.3 指導
世界選手権2019 銀メダル
オーサーコーチの指導理念
オーサーコーチに指導を受ける為、世界各国から選手が集まってきます。
それぞれの文化を背景に持つ多国籍の選手の指導は、どうやって行うのでしょうか。苦労はないのでしょうか。
「指導者はエリートスケーターを扱う秘密を明かす」と特集した、
米スケート専門メディア「icenetwork」掲載記事を抜粋したものを見付けました。
その中で、オーサーコーチは、次のように答えています。
「指導者として、私自身も、選手たちの文化に慣れ親しまなければならない。尊敬、名誉という2つの価値は、全ての文化において効果を持つものなのです」
THE ANSER
「羽生結弦ら指導 なぜブライアン・オーサーは
“多国籍”の教え子を育てられるのか」より抜粋
オーサーコーチは、5人兄弟の末っ子として、アイルランド系カトリック教徒の厳格なご両親のもと、
他者を尊敬し、名誉を重んじることを教育方針として育ったそうです。
それは、「人生だけでなく、指導者としての哲学となっている」と話しています。
オーサー氏の下には、羽生を含め、アジア、西欧、東欧、北米といった世界から教え子が集まり、生まれ育った文化、伝統はカナダ人の同氏とは異なる。
THE ANSER
各々のバックボーンをリスペクトし、理解することがトップスケーターをマネジメントする重要なアプローチになると、当代の名伯楽は持論を展開している。
「羽生結弦ら指導 なぜブライアン・オーサーは
“多国籍”の教え子を育てられるのか」より抜粋
それぞれの選手の国の文化を理解し、尊重する、ということは、
「選手一人ひとりをリスペクトする」ということ。
それは、人をマネジメントする立場になってから得たものではなく、
オーサーコーチが幼い頃から身に付けた、自然な考え方なのですね。
指導者は、技術云々の前に、やはり人間力。
オーサーコーチにとって、多国籍の選手を指導することは、私達が思うほど、苦労ではないのかもしれません。
オーサーコーチの指導を希望する選手が、世界各国から後を絶たないのは、その実績だけでなく、素晴らしい人間力があるからですね!
このような哲学を持つコーチに指導を仰ぐことになる、紀平梨花選手。
きっと、スケート技術だけでなく様々なことを吸収し、
スケーターとして、人として、ますます成長するのではないでしょうか!
第2の練習拠点クリケットクラブ
スケーターがコーチと契約を交わす場合、多くは、コーチが契約するスケートクラブに所属することになります。
オーサーコーチが契約し、練習拠点としているのは、カナダのクリケットクラブ。
紀平選手の場合、メインコーチは濱田美栄コーチなので、所属先というより、練習拠点が2つ(日本とカナダ)になる、という感じですかね。
紀平選手の、第2の練習拠点となる
「クリケットクラブ」について調べてみました!
クリケットクラブとは
羽生選手が所属するスケートクラブとして、よく耳にするクリケットクラブとはどういったところなのでしょう。
【正式名称】
「TORONTO CRICKET SKATING AND CURING CLUB」
(トロント・クリケット・スケーティング・アンド・カーリングクラブ)
【所在地】
カナダ オンタリオ州トロント北部
【設立】1895年
【会員制】
プロ、アマ、一般人も多く利用
【アクティビティ】
水泳、クリケット、クロッケー、カーリング、フィットネス、芝生ボウリング、スケート、テニス
【スポーツ施設】
プール、クリケット場、スケートリンク、ジム、テニスコート、など
【ダイニング施設】
レストラン多数、スポーツバー
※家族でバーベキューも楽しめます。
【その他】
結婚式、誕生パーティーなどイベント、
企業のイベント/会議
などにも利用可能
イメージとしては、スポーツ施設とレストランやイベント会場が入った、宿泊施設のない巨大ホテル、みたいな感じでしょうか。
カナダの人々の社交場として、こういったクラブは多く存在していると思われます。
公式サイトを見ると、とても広く、豪華な印象なので、会員料金はかなり高そうな雰囲気です。
管理人は、クリケットクラブを、単なる「羽生選手の所属スケートクラブ」と思っていたので、こんなに広く豪華な施設とは知りませんでした。
ちょっと驚きました。
この場所で、羽生選手や他のスケーターは、日々、練習に励んでいるのですね。
このクラブなら、スケーター同士の交流も盛んに行えて、色んな意味で刺激がもらえそうです。
他のスポーツ選手とも交流できますよね。
紀平選手、楽しみですね!
クリケットクラブ練習再開
クリケットクラブは、コロナウイルス感染の影響のため、閉鎖されていたのですが、
2020年6月20日、オーサーコーチがインスタグラムで、
練習再開になったことを喜ぶ写真を掲載しました。
ひとまずは、よかったですね。
あとは、カナダの入国制限が解除されれば、紀平選手のクリケットクラブでの練習が始まります!