2020-2021は、北京オリンピックのプレシーズン。
紀平梨花選手は、先日2020年6月、第2コーチとして、ブライアン・オーサーさんに就くことを発表しました。
共同通信の取材で、ロシア勢を超えたい、と意気込みを話していることから、4回転の完全習得、スピン・ステップの更なる向上を目指すものと思われます。
昨シーズンは、高加点の3アクセル・4回転を跳ぶロシア選手の上に立つことができませんでした。
紀平梨花選手が、ロシア勢に勝つためには、何が必要なのでしょうか。
4回転だけがネックでしょうか。
その辺りを明らかにするべく、
紀平梨花選手とロシア3選手の、昨シーズンのプログラム構成とGOEを調べてみました。
GPファイナル2019の演技で比較しています。
フィギュア女子/比較する女子選手
以下4選手のプログラム構成を比較しました。
・紀平梨花(日本)
・アリョーナ・コストルナヤ(ロシア)
・アンナ・シェルバコワ(ロシア)
・アレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)
フィギュアGPファイナル2019女子/結果
まず、紀平梨花選手・ロシア3選手の
GPファイナル2019の結果を、
総合/SP/FS、それぞれ見てみましょう。
フィギュアGPファイナル2019女子/結果(総合)
出場選手6名
順位 | 選手 | SP | FS | 総合点 |
1 | アリョーナ・ コストルナヤ (ロシア) |
85.45 | 162.14 | 247.59 |
2 | アンナ・ シェルバコワ (ロシア) |
78.27 | 162.65 | 240.92 |
3 | アレクサンドラ・トゥルソワ (ロシア) |
71.45 | 161.73 | 233.18 |
4 | 紀平梨花 (日本) |
70.71 | 145.76 | 216.47 |
5 | ブレイディ・ テネル (アメリカ) |
72.20 | 139.98 | 212.18 |
6 | アリーナ・ ザギトワ (ロシア) |
79.60 | 125.63 | 205.23 |
シニアデビューのロシア3選手が、表彰台を独占です。
フィギュアGPファイナル2019女子/結果(SP)
出場選手6名
順位 | 選手 | 技術点 | 演技構成点 | 総合点 |
1 | アリョーナ・ コストルナヤ(ロシア) |
49.48 | 35.97 | 85.45 |
2 | アリーナ・ ザギトワ (ロシア) |
43.14 | 36.46 | 79.60 |
3 | アンナ・ シェルバコワ(ロシア) |
43.72 | 34.55 | 78.27 |
4 | ブレイディ・ テネル (アメリカ) |
37.74 | 34.46 | 72.20 |
5 | アレクサンドラ・トゥルソワ (ロシア) |
39.65 | 32.80 | 71.45 |
6 | 紀平梨花 (日本) |
37.29 | 34.42 | 70.71 |
SPは、アリョーナ・コストルナヤ選手が1位ですね。
アレクサンドラ・トゥルソワ選手の技術点は、規定により、SPで4回転は跳べないせいもあり、低めです。
フィギュアGPファイナル2019女子/結果(FS)
出場選手6名
順位 | 選手 | 技術点 | 演技構成点 | 総合点 |
1 | アンナ・ シェルバコワ (ロシア) |
94.52 | 69.13 | 162.65 |
2 | アリョーナ・ コストルナヤ(ロシア) |
88.87 | 73.27 | 162.14 |
3 | アレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア) | 96.80 | 65.93 | 161.73 |
4 | 紀平梨花 (日本) |
77.90 | 68.86 | 145.76 |
5 | ブレイディ・ テネル (アメリカ) |
71.65 | 68.33 | 139.98 |
6 | アリーナ・ ザギトワ (ロシア) |
57.84 | 68.79 | 125.63 |
FSは、アンナ・シェルバコワ選手が1位ですね。
技術点だけだと、アレクサンドラ・トゥルソワ選手が、一番高い得点です。
フィギュアSPプログラム構成(GPファイナル2019)/紀平梨花・ロシア3選手
次に、紀平梨花選手・ロシア3選手の
SPプログラム構成(GPファイナル2019)を、それぞれ見てみましょう。
アリョーナ・コストルナヤ/SPプログラム構成
アリョーナ・コストルナヤSP
(プログラム)
「ドラマ「Left Overs 残された世界」より
SP順位:1位
SP得点:85.45
(技術点49.48+演技構成点35.97)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 3アクセル (3A) |
8.00 | 2.97 | 10.97 |
2 | 3ルッツ (3Lz) |
5.90 | 2.02 | 7.92 |
3 | フライング シットスピン4 (FCSp4) |
3.20 | 1.01 | 4.21 |
4 | 3フリップ+ 3トゥループ (3F+3T) |
10.45 x |
2.20 | 12.65 |
5 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.25 | 4.75 |
6 | ステップ シークエンス4 (STSq4) |
3.90 | 1.34 | 5.24 |
7 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 1.04 | 3.78 |
計 | 37.65 | 11.83 | 49.48 |
x=基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4=レベル
全ての要素で加点が付いていますね。
基礎点は、紀平選手の34.95より、2.7点多い構成です。
基礎点の高い構成の上、加点も多いのが、高得点の理由ですね。
【演技構成点(Program components)】
スケーティング技術 | 9.00 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.75 |
演技力 | 9.14 |
構成力 | 9.00 |
曲の解釈 | 9.07 |
計 | 35.97 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
5つの項目のうち、4つに9点台が付いています。
シニアデビューとは思えない表現力です!
アンナ・シェルバコワ/SPプログラム構成
アンナ・シェルバコワSP
(プログラム)
「映画「パフューム」より、
The girl with the plums
SP順位:3位
SP得点:78.22
(技術点43.72+演技構成点34.55)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 2アクセル (2A) |
3.30 | 1.08 | 4.38 |
2 | 3フリップ (3F) |
5.30 | 1.82 | 7.12 |
3 | フライングシットスピン4 (FCSp4) |
3.20 | 1.10 | 4.30 |
4 | 3ルッツ+ 3ループ (3Lz+3Lo) |
x 11.88 |
1.69 | 13.57 |
5 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 1.20 | 3.90 |
6 | ステップ シークエンス4 (StSq4) |
3.90 | 1.45 | 5.35 |
7 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.60 | 5.10 |
計 | 33.78 | 9.94 | 43.72 |
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
すべての要素に加点が付いています。
アンナ・シェルバコワ選手も4回転を跳びますが、SPは規定により組み込めないので、3Aを跳べる選手の方が、基礎点が高くなりますね。
【演技構成点(program Components】
スケーティング技術 | 8.61 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.32 |
演技力 | 8.75 |
構成力 | 8.71 |
曲の解釈 | 8.79 |
計 | 34.55 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
演技構成点は、紀平選手とほぼ同じですね。
アレクサンドラ・トゥルソワ/SPプログラム構成
アレクサンドラ・トゥルソワSP
(プログラム)
「組曲「ペールギュント作品23」より
ソルヴェイグの歌
SP順位:5位
SP得点:71.45
(技術点39.65+演技構成点32.80-減点1.00)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 3アクセル〈 (3A) |
6.40 | -3.20 | 3.20 |
2 | 3フリップ (3F) |
5.30 | 1.82 | 7.12 |
3 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.00 | 4.50 |
4 | 3ルッツ+ 3トゥループ (3Lz+3T) |
x 11.11 |
1.60 | 12.71 |
5 | フライングシットスピン4 (FCSp4) |
3.20 | 1.05 | 4.25 |
6 | ステップ シークエンス3 (StSq3) |
3.30 | 0.94 | 4.24 |
7 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 0.93 | 3.63 |
計 | 35.51 | 4.14 | 39.65 |
〈:アンダーローテーションジャンプ
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
3Aが成功、もしくは、他のジャンプを跳んでいたら、+5点はあったでしょう。
アレクサンドラ・トゥルソワ選手は、4回転も3Aも跳べるのが、強みですね。
【演技構成点(program Components】
スケーティング技術 | 8.21 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 7.89 |
演技力 | 8.36 |
構成力 | 8.29 |
曲の解釈 | 8.25 |
計 | 32.80 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
アレクサンドラ・トゥルソワ選手は、
ジャンプが得意なので技術点は高いのですが、演技構成点については、少し低く、紀平梨花選手のほうが上回っていますね。
紀平梨花(日本)/SPプログラム構成
紀平梨花SP
(プログラム)
ブレックファスト・イン・バグダッド
SP順位:6位
SP得点:70.71
(技術点 37.29+演技構成点34.42-減点 1.00)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE (加点) |
総合点 | |
1 | 3アクセル (3A) |
8.00 | -0.91 | 7.09 |
2 | 3フリップ+ 3トゥループ〈 (3F+3T) |
8.66 | -2.65 | 6.01 |
3 | フライング シットスピン3 (FCSp3) |
2.80 | 0.80 | 3.60 |
4 | 3ループ (3Lo) |
5.39 x |
1.61 | 7.00 |
5 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.25 | 4.75 |
6 | ステップ シークエンス4 (StSq4) |
3.90 | 1.39 | 5.29 |
7 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 0.85 | 3.55 |
計 | 34.95 | 2.34 | 37.29 |
〈:アンダーローテーションジャンプ
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
ジャンプ2つのGOEマイナス点が響いています。
このジャンプに加点が付くようになると、かなり点数が変わってきますね。
【演技構成点(Program Components)】
スケーティング技術 | 8.75 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.54 |
演技力 | 8.43 |
構成力 | 8.64 |
曲の解釈 | 8.68 |
計 | 34.42 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
紀平梨花選手の演技構成点は、決して低くはないのですが、9点台がいくつか付いてくると順位が上がってくると思います。
FSプログラム構成(GPファイナル2019)/紀平梨花・ロシア3選手
次に、紀平梨花選手・ロシア3選手の
FSプログラム構成(GPファイナル2019)を、それぞれ見てみましょう。
アリョーナ・コストルナヤ/FSプログラム構成
アリョーナ・コストルナヤFS
(プログラム)3曲を編集
①映画「ニュームーン/トワイライトサーガ」より、The Meadow
②映画「トワイライト~初恋~」より、
Eyes on Fire
➂Super Massive Black Hole(ミューズ)
FS順位:2位
FS得点:162.14
(技術点88.87+演技構成点73.27)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 3アクセル+ 2トゥーループ (3A+2T) |
9.30 | 1.49 | 10.79 |
2 | 3アクセル (3A) |
8.00 | 2.74 | 10.74 |
3 | 2アクセル (2A) |
3.30 | 1.08 | 4.38 |
4 | 3ループ (3Lo) |
4.90 | 1.61 | 6.51 |
5 | フライング足替えコンビ スピン4 (FCCoSp4) |
3.50 | 1.30 | 4.80 |
6 | ステップ シークエンス3 (StSq3) |
3.30 | 1.32 | 4.62 |
7 | 3フリップ+ 3トゥループ (3F+3T) |
x 10.45 |
2.20 | 12.65 |
8 | 3フリップ+1オイラー+3サルコウ (3F+1Eu+3S) |
x 11.11 |
1.82 | 12.93 |
9 | 3ルッツ (3Lz) |
x 6.49 |
1.85 | 8.34 |
10 | 足替えコンビスピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.30 | 4.80 |
11 | コレオ シークエンス1 (ChSq1) |
3.00 | 1.57 | 4.57 |
12 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 1.04 | 3.74 |
計 | 69.55 | 19.32 | 88.87 |
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
※オイラー:連続ジャンプのつなぎに使う、1回転ループ
3Aの評価が高いですね。
そして、すべての要素において、高い加点が付いています。
4回転がなくても勝てるポイントはそこですね。
【演技構成点(Program Components)】
スケーティング技術 | 9.11 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.86 |
演技力 | 9.36 |
構成力 | 9.14 |
曲の解釈 | 9.32 |
計 | 73.27 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
演技構成点、高いですね!4項目が9点台です。
アリョーナ・コストルナヤ選手の強さは、全要素の質がよく、バランスがとれていることです。
アンナ・シェルバコワ/FSプログラム構成
アンナ・シェルバコワFS
(プログラム)2曲を編集
①ピアノ曲「6つのグノシエンヌ」より第1番
②バレエ「火の鳥」より
FS順位:1位
FS得点162.65
(技術点94.52+演技構成点69.13-減点1.00)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 4ルッツ+ 3トゥループ (4Lz+3T) |
15.70 | 3.45 | 19.15 |
2 | 4フリップ (4F) |
11.00 | -5.50 | 5.50 |
3 | コレオ シークエンス1 (ChSq1) |
3.00 | 1.43 | 4.43 |
4 | 2アクセル(2A) | 3.30 | 0.99 | 4.29 |
5 | 4ルッツ〈 (4Lz) |
9.20 | -0.39 | 8.81 |
6 | フライング シットスピン (FCSp4) |
3.20 | 0.96 | 4.16 |
7 | 3ルッツ+ 3ループ (3Lz+3Lo) |
x 11.88 |
0.84 | 12.72 |
8 | 3フリップ+1オイラー+3サルコウ (3F+1Eu+3S) |
x 11.11 |
1.29 | 12.40 |
9 | 3ルッツ (3Lz) |
x 6.49 |
1.69 | 8.18 |
10 | フライング 足替えコンビ (FCCoSp4) |
3.50 | 1.15 | 4.65 |
11 | ステップ シークエンス (StSq4) |
3.90 | 1.28 | 5.18 |
12 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.55 | 5.05 |
計 | 85.78 | 8.74 | 94.52 |
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
※オイラー:連続ジャンプのつなぎに使う1回転ループ
すごい技術点の高さですね。
冒頭の4ルッツ+3トゥループの得点、19.15!
基礎点の高い高難度のジャンプを質よく跳べる、すごいです。
【演技構成点(Program Components)】
スケーティング技術 | 8.75 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.32 |
演技力 | 8.71 |
構成力 | 8.64 |
曲の解釈 | 8.79 |
計 | 69.13 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
アンナ・シェルバコワ選手も、高い演技構成点です。
4回転が跳べて技術点も高く、バランスがとれていますね。
アレクサンドラ・トゥルソワ/FSプログラム構成
アレクサンドラ・トゥルソワFS
(プログラム)
ドラマ「Game Of Thrones」より
Pray、The Night King
FS順位:3位
FS得点:161.73
(技術点96.80+演技構成点65.93-減点1.00)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 | |
1 | 4フリップ (4F) |
11.00 | 3.30 | 14.30 |
2 | 2サルコウ (2S) |
1.30 | -0.07 | 1.23 |
3 | 4ルッツ (4Lz) |
11.50 | 3.78 | 15.28 |
4 | 2アクセル+ 3トゥループ (2A+3T) |
7.50 | 1.20 | 8.70 |
5 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 0.80 | 4.30 |
6 | コレオ シークエンス1 (ChSq1) |
3.00 | 1.57 | 4.57 |
7 | 4トゥループ+1オイラー+3サルコウ (4T+1Eu+3S) |
x 15.73 |
2.71 | 18.44 |
8 | 4トゥループ〈 (4T) |
x 8.36 |
-3.80 | 4.56 |
9 | 3ルッツ+ 3トゥループ (3Lz+3T) |
x 11.11 |
1.69 | 12.80 |
10 | フライング シットスピン4 (FCSp4) |
3.20 | 0.82 | 4.02 |
11 | ステップ シークエンス3 (StSq3) |
3.30 | 0.75 | 4.05 |
12 | フライング足替え コンビスピン4 (FCCoSp4) |
3.50 | 1.05 | 4.55 |
計 | 83.00 | 13.8 | 96.80 |
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
※オイラー:連続ジャンプのつなぎに使う、1回転ループ
技術点だけ見ると、4選手中、一番高いです。
なにしろ、4回転を4つも跳んでいますから。
しかも、そのうち3つに高い加点が付いた、質のよいジャンプです。
【演技構成点(Program Components)】
スケーティング技術 | 8.46 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 7.75 |
演技力 | 8.46 |
構成力 | 8.21 |
曲の解釈 | 8.32 |
計 | 65.93 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
アレクサンドラ・トゥルソワ選手は、技術点はトップなのですが、演技構成点に関しては、4選手中、一番低いです。
しかし、まだ15歳なので、これから必ず伸びてくるでしょう。
紀平梨花/FSプログラム構成
紀平梨花FS
(プログラム)
international angel of pease
FS順位:4位
FS得点:145.76
(技術点77.90+演技構成点68.86-減点1.00)
【技術点(Executed Elements)】
ジャンプ要素は、赤色にしています。
エレメンツ(要素) | 基礎点 | GOE (加点) |
総合点 | |
1 | 4サルコウ (4S) |
9.70 | -4.85 | 4.85 |
2 | 3アクセル〈+ 2トゥーループ (3A+2T) |
7.70 | -0.37 | 7.33 |
3 | 3フリップ (3F) |
5.30 | 1.06 | 6.36 |
4 | フライング シットスピン4(FCSp4) |
3.20 | 0.91 | 4.11 |
5 | 3アクセル (3A) |
8.00 | 1.94 | 9.94 |
6 | ステップ シークエンス4(StSq4) |
3.90 | 1.23 | 5.13 |
7 | 3フリップ+ 3トゥループ (3F+3T) |
x 10.45 |
0.76 | 11.21 |
8 | 2アクセル+1オイラー+※ 3サルコウ (2A+1Eu+3S) |
x 8.91 |
1.35 | 10.26 |
9 | 足替えコンビ スピン4 (CCoSp4) |
3.50 | 1.00 | 4.50 |
10 | コレオ シークエンス1 (ChSq1) |
3.00 | 1.50 | 4.50 |
11 | 3ループ (3Lo) |
x 5.39 |
0.77 | 6.16 |
12 | レイバック スピン4 (LSp4) |
2.70 | 0.85 | 3.55 |
計 | 71.75 | 6.15 | 77.90 |
〈:アンダーローテーションジャンプ
x:基礎点×1.1
スピン/ステップの3.4:レベル
※オイラー:連続ジャンプのつなぎに使う1回転ループ
やはり、4回転と3アクセルの減点が響いています。
成功していれば、+5点はありましたね。
【演技構成点(Program Components)】
スケーティング技術 | 8.71 |
---|---|
要素のつなぎ※ | 8.29 |
演技力 | 8.61 |
構成力 | 8.71 |
曲の解釈 | 8.71 |
計 | 68.86 |
1項目:10点満点
※要素のつなぎ:ジャンプほか要素と要素のつなぎ部分。例えばステップなど。
技術点と演技構成点の比較(GPファイナル2019)/紀平梨花・ロシア3選手
紀平梨花選手とロシア3選手の、技術点と演技構成点を、SP/FSそれぞれで比較してみましょう。
以下の3比較です。
1.技術点/演技構成点の比較
2.技術点(基礎点・GOE)の比較
3.演技構成点(5つの項目)の比較
SP技術点・演技構成点の比較
*紀平梨花・ロシア3選手
選手 | 技術点 | 演技 構成点 |
減点 | 総合点 |
アリョーナ・ コストルナヤ |
49.48 | 35.97 | 85.45 | |
アンナ・ シェルバコワ |
43.72 | 34.55 | 78.27 | |
アレクサンドラ・トゥルソワ | 39.65 | 32.80 | 1.00 | 71.45 |
紀平梨花 | 37.29 | 34.42 | 1.00 | 70.71 |
4選手中、アリョーナ・コストルナヤ選手が、技術点/演技構成点ともに一番高いですね。
紀平選手は、ジャンプの失敗が響き、一番低い技術点となっています。
SP技術点(基礎点・GOE)の比較
*紀平梨花・ロシア3選手
選手 | 基礎点 | GOE(加点) | 総合点 |
アリョーナ・ コストルナヤ |
37.65 | 11.83 | 49.48 |
アンナ・ シェルバコワ |
33.78 | 9.94 | 43.72 |
アレクサンドラ ・トゥルソワ |
35.51 | 4.14 | 39.65 |
紀平梨花 | 34.95 | 2.34 | 37.29 |
基礎点が一番高いのは、アリョーナ・コストルナヤ選手ですね。
そして、GOE(加点)も一番多いです。
SPは、4回転が組み込めないので、アンナ・シェルバコワ選手とアレクサンドラ・トゥルソワ選手は、FSで点数を稼ぐ作戦ですね。
SPは、3アクセルを跳べるアリョーナ・コストルナヤ選手、紀平梨花選手が有利です。
しかし、紀平梨花選手は、3アクセル(マイナスのGOE)、3フリップ+3トゥループの転倒が響いてしまいました。
成功していたら上位だったはずです。
SP演技構成点の比較
紀平梨花・ロシア3選手
5項目 | アリョーナ・ コストルナヤ |
アンナ・ シェルバコワ |
アレクサンドラ・トゥルソワ | 紀平梨花 |
スケーティング技術 | 9.00 | 8.61 | 8.21 | 8.75 |
要素のつなぎ | 8.75 | 8.32 | 7.89 | 8.54 |
演技力 | 9.14 | 8.75 | 8.36 | 8.43 |
構成力 | 9.00 | 8.71 | 8.29 | 8.64 |
曲の解釈 | 9.07 | 8.79 | 8.25 | 8.68 |
総合点 | 35.97 | 34.55 | 32.80 | 34.42 |
1項目:10点満点
演技構成点が一番高いのは、アリョーナ・コストルナヤ選手ですね。
そして、5項目全てにおいて、一番高い得点です。
FS技術点・演技構成点の比較
*紀平梨花・ロシア3選手
選手 | 技術点 | 演技 構成点 |
減点 | 総合点 |
アンナ・ シェルバコワ |
94.52 | 69.13 | 1.00 | 162.65 |
アリョーナ・ コストルナヤ |
88.87 | 73.27 | 162.14 | |
アレクサンドラ・トゥルソワ | 96.80 | 65.93 | 1.00 | 161.73 |
紀平梨花 | 77.90 | 68.86 | 1.00 | 145.76 |
技術点は、アレクサンドラ・トゥルソワ選手が一番高く、演技構成点はアリョーナ・コストルナヤ選手が一番高いです。
しかし、総合点を見ると、ロシア3選手は、ほとんど差がないですね!
紀平梨花選手は、やはりジャンプの失敗が大きく、技術点でかなり差がついてしまっています。
FS技術点(基礎点・GOE)の比較
*紀平梨花・ロシア3選手
選手 | 基礎点 | GOE (加点) |
総合点 |
アンナ・ シェルバコワ |
85.78 | 8.74 | 94.52 |
アリョーナ・ コストルナヤ |
69.55 | 19.32 | 88.87 |
アレクサンドラ・トゥルソワ | 83.00 | 13.8 | 96.80 |
紀平梨花 | 71.75 | 6.15 | 77.90 |
基礎点が一番高い構成なのは、アンナ・シェルバコワ選手ですね。
4回転フリップが成功し、加点がもっと付いていれば、順位は入れ替わっていたかもしれません。
アリョーナ・コストルナヤ選手は、とにかく加点が多いですね!
紀平梨花選手も、ジャンプが全て成功していれば、加点も多く付き、点数がかなり伸びたでしょう。
FS演技構成点の比較
*紀平梨花・ロシア3選手
5項目 | アリョーナ・ コストルナヤ |
アンナ・ シェルバコワ |
アレクサンドラ・トゥルソワ | 紀平梨花 |
スケーティング技術 | 9.11 | 8.75 | 8.46 | 8.71 |
要素のつなぎ | 8.86 | 8.32 | 7.75 | 8.29 |
演技力 | 9.36 | 8.71 | 8.46 | 8.61 |
構成力 | 9.14 | 8.64 | 8.21 | 8.71 |
曲の解釈 | 9.32 | 8.79 | 8.32 | 8.71 |
総合点 | 73.27 | 69.13 | 65.93 | 68.86 |
1項目:10点満点
FSも、演技構成点が高いのは、アリョーナ・コストルナヤ選手ですね。
そして、SPと同じく、5項目全てにおいて、一番高い得点です。
まとめ
技術点と演技構成点の詳細を見てみましたが、各選手、プログラム構成の特徴と戦略が出ていますね。
アリョーナ・コストルナヤ
・技術点の基礎点は低いが、高いGOE(加点)を狙う。
・演技構成点で高い得点を獲得し、差をつける。
・SPで他ロシア選手より得点を稼ぐ。(SPは規定で4回転不可)
【強み】
3アクセルだけでなく、全てにおいて、質のよいジャンプを跳べる。
演技構成点で高い評価を得られる。
アンナ・シェルバコワ
・FSで4回転を跳び、技術点を稼ぐ。
・演技構成点も、高い得点を狙う。
【強み】
4回転を跳べる。
演技構成点でも高い評価を得られ、バランスがとれている。
アレクサンドラ・トゥルソワ
・FSで4回転を4度を跳び、技術点を稼ぐ。
・SPで3アクセルを跳び、技術点を稼ぐ。
【強み】
FSで、4回転を4度も跳ぶことができる。
3アクセルも跳べる。
紀平梨花
・SP/FSともに、3アクセルで点数を稼ぐ。
・FSで4回転を跳び、技術点を稼ぐ。
・演技構成点でも高い評価を得られる。
【強み】
質のよい3アクセルで、高得点を期待できる。
4回転も跳べる。
こうして見てみると、
紀平梨花選手が、ロシア勢に勝つための戦略は、2種類あるかと思います。
1.3アクセルの質を上げることで勝負。
(アリョーナ・コストルナヤ選手のように、高いGOEを狙う)
2.4回転の精度を上げ、3アクセルと合わせて、高い技術点を得る。
先日、紀平梨花選手は、
カナダのオーサーコーチに師事することを発表し、4回転の完璧な習得を目標に掲げていましたので、後者の3アクセルと4回転をプログラムに組込む戦略になるでしょうね。
今のところ、紀平梨花選手が跳べる4回転は、基礎点の低い4回転サルコウです。
基礎点の高い他の4回転を習得できれば、アンナ・シェルバコワ選手やアレクサンドラ・トゥルソワ選手の技術点に並べるでしょう。
しかも、FSで3アクセルと4回転を組み込んだのは、紀平梨花選手しかいません。
質の高い3アクセル、完璧な4回転を目指していけば、ロシア勢の上に立つことは十分可能です。
2020-2021の紀平梨花選手の活躍に期待しましょう!